|
|
|
![]() 010. 富田恭弘 (a new dimension) 2006.07.11. |
“アボガド・ジャズ” 近頃アボガドにはまっている。もともと、回転寿し屋に行くと必ずカリフォルニア巻きを頼んでいたし、居酒屋でもアボガドを使ったメニューがあれば好んでオーダーする程度にはアボガド派と言えた自分だったけれど、この頃は本当にヤバい位アボガドのことばかり考えている。そして、そのはまり具合はジャズへのそれにちょっと似ている(強引だな)。 きっかけは、ふとしたことから手に取った一冊の本、その名も『アボガド バンザイ』(地球丸社)。これに紹介されていた調理法“オリーヴ・オイル+しょうゆで”のレシピ(?)のシンプルさに興味を持ち、試しに実践してみたら、これが実に素晴しかった。 「アボガドを半分に切ってタネを取り、そのくぼみにレモン汁、オリーヴオイル、醤油を好みの量垂らして、わさびを添える。そして、スプーンでその全部をかき混ぜながら食す。オリーヴオイルはEXヴァージンのフレッシュな奴をたっぷり使用するのがおすすめ。」 ただそれだけ。何を今更って言う人もいるかも知れないけど、そのあまりにもシンプルで大ざっぱな調理法が生み出す味覚的破壊力と深みに、またたくまに虜となった。 この調理法において最も重要なのは、アボガド自体の熟成度。正しくは収穫直後から始まる「追熟」という現象。この追熟度の進行を見極めて、最高にオイル度が高くまったりとしていて、それでいてフレッシュな状態のアボガドを切り裂く事に最も意味がある。日本に輸入されているほぼ99%が、メキシコ産で品種は「ハス」と呼ばれているもの。ゴツゴツした硬い皮が特徴で、熟すにつれ色が濃くチョコレート色に変化する。僕が購入している地元のオオゼキも扱っているのはこの「ハス」タイプ。これを売り場で手に取って 追熟度を見定める。一般的に言われている食べごろのサインは次の二つ。 ? ヘタの周囲が乾いたようになって、皮から浮いているような感じ。 ? 手にそっと包み込むように持つと、しっとりと吸い付くような適度な弾力が感じられる。 このサインを手がかりに適正な追熟度のアボガドを手に入れこの調理法を行うと、その味わいのもさることながら、ヘタの部分と薄い皮を除く全ての身の部分が、何の労力も必要なくキレイにスプーンですくえて食せてしまうのだ。実際にやってみると感動である。オレイン酸やリノール酸という不和脂肪酸に加え、ビタミン、ミネラル、繊維質も豊富で栄養価的にもまさに無駄の無い完全食。毎日食べてしまう自分への言い訳にも最高。しかも、その日の気分により、レモン汁、オリーヴオイル、醤油、わさびの比率を変え、スプーンでのかき混ぜ度をちょっと調整すると、日々新たな発見があり飽きがこない! さらに、驚くべき事にアボガドの本当の旬は日本での冬から春にかけての時期。冬になるとさらにオイル分がたっぷりのアボガドが食せるという訳。恐るべし、アボガド。 そんなこんなで一応音楽に関したコラムって依頼なんで、ここらでちょっと無理矢理な感もあるけど、そんなアボガドと同じ位好きなジャズの中でも、最近特にはまってる、フレッシュかつ深みのある熟成度の高いフェイヴァリット・ディスクをご紹介。(せっかくなんで各自のアボガド度も記載してみました。☆の数は殆ど意味ないですけど。) :Stanley Cowell Trio『Close To You Alone』(DIW)(1990) ![]() 先鋭的ブラック・ジャズ・レーベル、ストラタ・イーストの創立者のひとりでもあるピアニスト、スタンリー・カウエル。彼が盟友であるセシル・マクビー(P)等とともに日本のDIWレーベルに残した1枚。僕はこの人の作品は大好きで70〜80年代の代表作は大体持っているつもりなんですが、これはディスク・ガイド本「Spiritual Jazz」で北浦知司氏で推薦していたんで最近購入。過去に何度も取り上げている自身の代表的名曲“Equipoise”(ビルド・アン・アークもカヴァーしてました。)をここでも再演しているのですが、キャリアの積み重ねが決して単なる疲弊を伴った成熟感でなく、凛とした佇まいと決して衰えることのない情熱を感じさせてくれる。板橋文夫氏のキャリアの重ね方にも通じるかも。今の自分的には、ひょっとしたらこの曲のヴァージョンの中でもベストかも知れないくらい好き。 アボガド熟成度☆☆☆ 「熟成しきったまろやかさの中にかすかに立ち昇る青き芳香。 わさびをやや多めにしてじっくりと食したい?」 :福居良『Scenery』(TRIO/ ULTRA VYBE)(1976) ![]() 現在も札幌を拠点に精力的な活動を続けるピアニスト、福居良氏。今や幻のレア盤となってしまった76年リリースの本作は、ジャイルス・ピーターソンのプレイで一躍クラブ・シーンでも話題となった名曲“Early Summer”を収録。優しい木漏れ日のような瑞々しくメロウな導入部から、ラグドなビートを伴い駆け抜け、展開していく奇跡の長編ジャズ・ダンサー。まさに初夏を駆け抜ける疾走ジャズfrom北の大地。聴くたびにこの曲が日本で生まれた事を誇りに思う。最高。6月のA New Dimensionの明け方でも怒濤のグルーヴで、フロアにかつてないフリーキーなピークタイムを作ってくれました。 アボガド熟成度☆☆☆! 「北海道育ちのアボガドは、まだちょっと熟しきっていない部分もあるけれど、そのフレッシュさと力強い風味がまた最強。その素材感を素直に味わいたい。よって調味料は控えめに。」 :Sleep Walker『The Voyage』(VILLAGE AGAIN)(2006) ![]() 待望のセカンド・アルバム。クラブ・シーンとリンク及び同時代性という観点から言えば、まさしく現時点で世界最強のジャズ。そして、それらと切り離しても最高のリアル・ミュージック、リアル・ジャズ。スリープウォーカー節満載なシャープ切れ味の「愛の〜」シリーズ最新版、"愛の旅"。フロアで何度聴いてもそのイントロのピアノ・リフ、そしてベンベの歌声と中盤の4ビート・ランニングベースで胸が切なくなる"Into The Sun"。ユキミ・ナガノをフィーチャーした珍しくヨーロピアン〜プログレ的香りがする"Afloat"。美しく儚い"Reminiscence"。そして、アルバムのラストを飾る事で再びその圧倒的な存在感を示してくれるマイルストーン、"The Voyage"。いつだって彼等は最高だ。 アボガド熟成度☆☆☆!! 「才能と志のあるシェフ達によるリアル・アボガド・フルコース。こちらも本気で挑まないと、完食不可能か??The Voyageでの 超完熟 シェフ、ファラオとの超越したやりとりは、日本産アボガドが到達した一つの頂点。」 みなさんも素敵なアボガド&ジャズ・ライフを。 では、A New Dimensionのダンス・フロアでお待ちしてます。 |
|
|
|